「ダンボールはすぐに処分すべき」。そう頭では分かっていても、次の引っ越しのために、あるいは、ネットオークションの発送用として、ある程度の数のダンボールを家に保管しておきたい、という方も多いでしょう。しかし、その保管方法を間違えると、あなたの家が害虫の温床となるリスクは、常に付きまといます。では、どうしてもダンボールを保管しなければならない場合、そのリスクを最小限に抑えるための、正しい方法とはどのようなものでしょうか。まず、保管するダンボールの「選別」が重要です。スーパーなどでもらってきた、野菜や果物、あるいはカップ麺などが入っていた食品系のダンボールは、すでに害虫の卵が付着しているリスクが非常に高いため、保管用には絶対に向きません。保管するのは、比較的清潔な、新品に近い状態のものに限定しましょう。次に、最も重要なのが「保管場所」の選定です。絶対にNGなのが、「湿気の多い場所」です。押し入れやクローゼットの奥、あるいはキッチンのシンク下などは、湿気がこもり、カビやチャタテムシ、ダニの発生原因となるため、最悪の保管場所です。理想的なのは、「風通しが良く、乾燥した場所」。例えば、屋根裏部屋や、ガレージの棚の上など、居住空間から離れた場所が望ましいです。そして、保管する際の「状態」も重要です。箱のまま立体的に積み重ねておくと、内部が絶好の隠れ家となります。必ず、全てのダンボールを平らに解体し、たたんだ状態で、紐で固く縛ってから保管しましょう。これにより、虫が潜む隙間を最小限にすることができます。さらに、保管する際には、市販の防虫剤や除湿剤を、ダンボールの間に挟んでおくのも、非常に有効な対策です。ただし、これらの対策を講じたとしても、ダンボールが害虫にとって魅力的な素材であることに変わりはありません。長期保管は極力避け、半年から一年を目安に、定期的に新しいものと入れ替える、という意識を持つことが大切です。ダンボールは「収納用品」ではなく、あくまで「一時的な輸送用品」である。この原則を忘れず、賢く、そして安全に付き合っていくことが求められるのです。