やけど虫の被害に遭ってしまった時、すぐに病院に行けない場合の応急処置として、市販薬は非常に心強い味方となります。しかし、ドラッグストアの棚には、様々な種類の虫刺され薬が並んでおり、一体どれを選べば良いのか、迷ってしまう方も多いでしょう。やけど虫による皮膚炎は、単なるかゆみではなく、毒素による非常に強い「炎症」です。この点を理解し、適切な成分が含まれた薬を選ぶことが、効果的な治療の鍵となります。結論から言うと、やけど虫による皮膚炎に最も効果が期待できるのは、「ステロイド外用薬(軟膏・クリーム)」です。ステロイドは、副腎皮質ホルモンとも呼ばれ、炎症を引き起こす体の免疫反応そのものを、強力に抑え込む作用を持っています。これにより、ヒリヒリとした痛みや、赤み、腫れ、そして水ぶくれの形成といった、強い炎症症状を、根本から鎮めることができます。市販のステロイド外用薬は、その強さによってランク分けされています。一般的には、「ストロング」または「ミディアム」クラスの強さを持つ製品が、やけど虫のような強い炎症に適しているとされています。製品のパッケージに、「ブユ、ムカデ、毛虫などにも」といった記載があるものは、強い炎症に対応できるタイプであることの一つの目安となります。一方、かゆみ止め成分である「抗ヒスタミン薬」だけが含まれた製品は、やけど虫の強い炎症を抑える力は弱いため、あまりお勧めできません。また、メンソールやカンフルといった清涼成分が強く配合されたものも、炎症を起こしているデリケートな肌には刺激が強すぎる場合があります。薬を選ぶ際は、必ず薬剤師に「やけど虫に触れて、水ぶくれができている」という状況を具体的に伝え、最適な強さのステロイド外用薬を選んでもらうようにしましょう。そして、使用する際は、必ず用法用量を守り、5~6日使用しても症状が改善しない、あるいは悪化するようであれば、市販薬での対処の限界と判断し、速やかに皮膚科を受診してください。
市販薬はどれを選ぶ?やけど虫の水ぶくれに効く薬