新しい生活への期待に胸を膨らませる、引っ越し。しかし、その一大イベントの裏側で、旧居であなたを悩ませていた、あの不快な害虫たちも、新居への「お引っ越し」を、虎視眈々と狙っているとしたら、どうでしょうか。そして、その最も安全で確実な乗り物が、荷物を運ぶための「ダンボール」なのです。引っ越しは、実は、害虫との関係をリセットする絶好のチャンスであると同時に、問題を新居に持ち越してしまう、最大のリスクをはらんだイベントでもあります。特に、旧居でゴキブリの発生に悩んでいた場合、そのリスクは計り知れません。あなたが気づいていないだけで、家具の裏や、家電製品の内部、そして壁の隙間などには、無数の卵鞘(卵のカプセル)が産み付けられている可能性があります。そして、荷造りの過程で、これらの卵鞘が、ダンボールの底や、荷物と一緒に、巧みに紛れ込んでしまうのです。チャタテムシやダニ、シミ(紙魚)なども同様です。長年使っていた本棚や、押し入れの奥の荷物をダンボールに詰め込む際に、彼らも一緒に新居へと旅立つことになります。そして、新生活が始まった数週間後、あるいは数ヶ月後に、原因不明の害虫が大量発生し、「新しい家なのに、なぜ?」と頭を悩ませる。その犯人は、実は、あなた自身が連れてきた「旧居からの同居人」だった、という悲劇は、決して珍しい話ではないのです。この最悪のシナリオを避けるためには、引っ越し前の準備が全てを決めます。まず、荷造りを始める前に、できる限り旧居の害虫駆除を行っておくことが理想です。そして、荷造りの際には、中古のダンボールの使用は極力避け、できるだけ新品のものを使いましょう。スーパーなどでもらってきた、食品が入っていたダンボールは、特に危険です。また、荷物を詰める前に、ダンボールの内部を固く絞った雑巾で拭くなど、一手間加えるだけでも、リスクは減少します。そして、新居に荷物を運び込んだら、できるだけ早く荷解きを済ませ、ダンボールは速やかに処分すること。引っ越しは、過去との決別の儀式。不快な害虫との縁も、旧居にきっぱりと置いてくるという、強い意志が求められるのです。
引っ越しは要注意!ダンボールと一緒に害虫も新居へお引っ越し?