オンラインショッピングが当たり前になった現代、私たちの家には、毎日のように宅配便のダンボールが届けられます。しかし、その便利さの裏側で、私たちが気づかないうちに、ゴキブリやチャタテムシといった不快な害虫を、自ら家の中に招き入れてしまっている「トロイの木馬作戦」が、密かに行われているとしたら、どうでしょうか。実は、宅配便で届くダンボールは、害虫が外部から家に侵入してくる、最も警戒すべきルートの一つなのです。その理由は、ダンボールが私たちの手元に届くまでの、長い旅路にあります。商品が詰められたダンボールは、巨大な物流倉庫や、配送センターなどで、長期間保管されることがあります。これらの施設は、広大で、温度や湿度の管理が完全に行き届いているとは限りません。そのため、倉庫に元々棲みついていたゴキブリが、ダンボールの波状の隙間に卵鞘(卵のカプセル)を産み付けたり、チャタテムシやダニが繁殖したりする可能性があるのです。そして、私たちは、その中に潜む見えない脅威に気づかないまま、荷物を受け取り、リビングや寝室にまで、その箱を持ち込んでしまうのです。この「外部からの持ち込み」という最悪の事態を防ぐためには、ダンボールを受け取った後の、私たちの行動が全てを決めます。守るべき鉄則は、非常にシンプルです。第一に、「家の中に長時間置かない」。可能であれば、荷物は玄関先で開封し、中身だけを家の中に持ち込み、ダンボールはすぐに屋外に出すのが理想的です。第二に、「すぐに解体する」。ダンボールは、立体的な箱の状態だからこそ、虫の絶好の隠れ家となります。カッターでテープを切り、平らにたたんでしまえば、彼らが潜む場所はなくなります。そして第三に、「速やかに処分する」。次の資源ゴミの日まで、家の中に溜め込むのは絶対にやめましょう。ゴミの日までは、ベランダなどの屋外で、雨に濡れないように保管するのが賢明です。宅配便のダンボールは、「輸送用品」であり、「収納用品」ではない。この意識を徹底することが、あなたの家を、見えない侵入者から守るための、最も重要な水際対策となるのです。
宅配便のダンボールは虫の運び屋!家に害虫を持ち込まないための鉄則