古本屋の棚に並ぶ、時代を経た本たち。その独特の匂いと、誰かの手を渡り歩いてきた物語に、私たちは魅了されます。しかし、そのロマンの裏側には、紙を食べる虫という、現実的なリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。古本を愛するからこそ、知っておくべき、購入時と保管の注意点があります。古本を購入する際に、まずチェックしたいのが、本の状態です。ページの隅が不自然に欠けていたり、小さな穴が開いていたり、あるいは、糊付けされた背表紙の部分がボロボロになっていたりしないか。また、ページを開いた時に、カビ臭い匂いがしないかも重要なポイントです。シミやチャタテムシは、湿度の高い環境を好むため、カビが発生している本には、彼らが潜んでいる可能性も高くなります。本の綴じ目の部分(ノド)に、小さな虫の死骸や、砂粒のようなフンが落ちていないかも、注意深く観察しましょう。もし、これらのサインが見られた場合は、購入を控えるのが賢明です。家に持ち帰った後、すぐに本棚に入れるのは危険です。たとえ見た目にはきれいに見えても、ページの間に、目に見えない虫の卵が隠れている可能性があります。その一冊が、あなたのコレクション全体を汚染する原因となりかねません。最も確実な対策は、購入してきた古本を、大きなビニール袋に入れ、衣類用の防虫剤(ピレスロイド系の無臭タイプがおすすめ)を一緒に入れて、一ヶ月ほど密閉しておくことです。これにより、もし卵や幼虫が潜んでいたとしても、孵化した虫を殺虫成分で駆除することができます。この「検疫」期間を終えた後、ようやく安心して本棚に加えることができます。保管する際も、他の本と同様に、風通しを良くし、湿度を避けることが重要です。古本は、新品の本以上に湿気を吸いやすいため、特に注意が必要です。本棚にぎゅうぎゅうに詰め込まず、時々は取り出して、ページに風を通してあげる(虫干し)。この愛情のこもった一手間が、時を超えてきた貴重な本を、未来へと受け継いでいくための、最良の方法なのです。
古本に潜む虫、購入時と保管の注意点