日本の蜂危険ランキングで、議論の余地なく頂点に君臨する存在、それがオオスズメバチです。世界最大のスズメバチであり、その存在は単なる昆虫という枠を超え、生態系における強力な捕食者、そして人間にとっての重大な脅威として知られています。オオスズメバチの危険性は、その圧倒的な「毒の威力」と「凶暴な攻撃性」に集約されます。彼らが注入する毒液には、神経毒や血液を溶かす成分など、様々な強力な化学物質がカクテルのように含まれており、刺された際には火箸を押し付けられたような激しい痛みが走ります。その毒の量は、他のスズメバチの数倍にも及び、一度刺されただけでも、体質によってはアナフィラキシーショックを引き起こし、死に至る危険性が十分にあります。さらに恐ろしいのが、その攻撃性です。体長4cmを超える巨大な体躯と、大木さえも削り取る強力な大顎は、まさに空飛ぶ戦闘機です。彼らは、巣に近づくものを容赦なく攻撃します。特に、巣が最も大きくなり、新女王蜂を育てるために神経質になっている秋(9月〜11月)は、最も危険なシーズンです。巣から10メートル以上離れていても、警戒範囲に入ったと見なされれば、偵察蜂からの威嚇を受け、それを無視すれば集団での総攻撃を受けることになります。彼らは執拗にターゲットを追跡し、毒液を噴射しながら、何度も攻撃を繰り返します。オオスズメバチは、主に土の中や、木の洞(うろ)、屋根裏といった、閉鎖的で目立たない場所に巣を作ります。そのため、ハイキングや農作業中に、知らずに巣を刺激してしまうケースが後を絶ちません。もし、野山でオオスズメバチに遭遇してしまったら、絶対にやってはいけないのが、大声を出したり、手で払ったり、走って逃げたりすることです。これらの行動は、彼らを最大限に興奮させてしまいます。静かに、姿勢を低くして、ゆっくりと後ずさりしながら、その場を離れる。それが、この最強の殺戮者から生還するための、唯一にして絶対の鉄則なのです。
最強の殺戮者オオスズメバチの恐怖