大阪の害虫駆除業界で三十年以上ハンドルを握り続けてきたあるベテラン技師は、近年の大阪の現場に起きている変化に警鐘を鳴らしています。彼が語るには、かつての害虫駆除は「見つけたら強い薬で殺す」というシンプルなものでしたが、現代の大阪はヒートアイランド現象の影響により、害虫の生態そのものが変わりつつあると言います。「冬でも暖かい地下街やビルの機械室は、害虫にとって年中常夏の楽園なんです。以前は冬になれば相談が減ったものですが、今は一年中、チャバネゴキブリやネズミの駆除依頼が止まりません」と彼は苦笑交じりに話してくれました。特に彼が難しさを感じているのが、大阪万博を控えて進む再開発エリアでの問題です。古いビルの解体工事が始まると、そこに住み着いていた害虫や害獣が一斉に周囲の住宅街へと逃げ出す「集団移動」が発生します。この際、何も知らない近隣住民が突然の大量発生にパニックになる光景を何度も見てきたそうです。彼の信条は、お客様に対して「嘘をつかないこと」です。見積もり時に「一回で全滅させます」と豪語する業者は疑ったほうがいい、と彼は断言します。害虫駆除は、建物が外部と繋がっている以上、常に侵入リスクとの戦いであり、一回の魔法で解決するものではないからです。「私たちは魔法使いではなく、住まいの管理をお手伝いする伴走者です」という言葉には重みがあります。また、彼が最近の大阪の住宅で気になっているのは、ネット通販の普及による副産物です。届いた段ボールを玄関やリビングに長期間放置することで、そこに付着していたゴキブリの卵やトコジラミが家の中に広がってしまう事例が急増しているそうです。大阪の利便性は高いですが、それが不快な訪問者の「無賃乗車」を招いている現実を、彼は日々の現場で目の当たりにしています。彼のようなベテラン技師にとって、最も嬉しい瞬間は、施工後に「おかげで夜、安心して眠れるようになったわ」という大阪らしい親しみのある感謝の言葉をかけられるときです。最新の機材を使いこなしながらも、最後は現場を這いつくばって隙間を探し出す泥臭い作業。その積み重ねが、この大都市・大阪の衛生環境を支えているのです。
大阪の害虫駆除最前線を支えるベテラン技師が語る現場の真実